猫の空前のブームで猫さんを飼っている人は
とても多いですね。 筆者も例外ではなく、
2匹の元保護猫と暮らしています。
猫さんって、一緒に暮らしているとツンデレだったり、
甘えん坊だったり、愛らしく遊んだり、
可愛い声で鳴いたり、無防備な姿で寝たり…
たまりませんよね。
さらに、見れば見るほど魅力的な姿…
黒、白、三毛、サビ、ハチワレなど
個性溢れる被毛の柄、しなやかなフォルム、
艶やかな背中の毛、柔らかなお腹の毛、
ペラペラの耳、ひんやり濡れた鼻、
プニプニの肉球、宝石のような目、
よく動くしっぽ…見ていて飽きる事は
ありませんよね。
飼い主さんはもちろん、猫ラバーの皆さんは
そんな猫さんを眺めていると、フツフツと
「あー、猫の絵が描けたらなあ…」と
1度は思ったことがあるのではないでしょうか?
実際、たくさんの有名な画家が古代から
猫をモチーフに絵を描いていますし、
猫と共に暮らす作家さんも昔から数多く
いますよね。
猫という生き物をどうにも人を魅了して
芸術家はさておき、我々一般人にさえ、
「描いて見たいな」と思わせてしまう
恐ろしい存在ですね。
でも、「さすがに絵はなぁ…絵心ないし…」
「管理に困るほど大量に写真や動画撮ってる
からまあいいか」と
脳内に一瞬浮んだ「猫を描きたい」という
アイデアを打ち消してしまったかも
しれませんね。
こちらの記事では、そんな猫の飼い主さんや
猫ラバーさんの為に、ほぼ猫ばっかり描いてきた
筆者が、限りなく「描く」というハードルを
下げて、わかりやすく、
優しいタッチで素敵に猫さんを描く方法を
「画材編」と「制作編」×2回、計3回に渡って
紹介したいと思います。
イケメンに描いてくれなきゃ怒るにゃよ?
目次
画材を用意しよう〜おすすめは色鉛筆と色画用紙〜
色鉛筆の実力
猫さんを描く上で、最近色鉛筆が流行って
いるのをご存知でしょうか?
色鉛筆って、幼稚園か保育園、小学校低学年
頃までクレヨンを使って、クレヨンを卒業
して最初に手にする画材のように思います。
そんな、幼い頃に使っていた色鉛筆ですが
なぜ今、そんなに熱いのか?
その一つは、とてつもなくリアルで、写真より
美しいのでは?と思わせせる色鉛筆画家さんの
出現かも知れません。
*ちなみに、筆者もファンなので紹介すると、
・【音海はるさん】19歳の美術科の学生
あまりにリアルな絵にメディアでの露出
も多く、展覧会や画集も出している
すごい方です。片目を失明しているにも
関わらずここまで描けるなんて!
・【長靴をはいた猫さん】19歳の美容学生
こちらもリアルで見入ってしまうリアル
で美しい絵を描かれています。
オリジナリティもあって素晴らしい
ですよ。
※ご興味のある方は検索して見てください
このお二人の絵を見ていると、筆者も感動を
する一方で、才能の差が…と凹んでしまい
ますが、この方々もいきなり描けたわけではなく
とてつもない努力の果てにこのレベルに達して
いるんですね。
「天才とは、1%の才能と99%の努力」という
言葉はあまりにも有名ですし、東大生だって
生まれてすぐに東大生だったわけでは
ありませんので、ますは、私たちは
「いつかあんな風に描けたらいいね」と
今はいかに簡単に「それっぽく素敵」に
見える絵を描くかを目標に描いていきましょう。
話が逸れましたが、一番のポイントは
「色鉛筆は、簡単に猫をリアルに描ける
画材」だということです。
色鉛筆とは、私たちが幼い頃に触れたあの
色鉛筆だけではなく、実は沢山の種類があり、
とても奥が深いのです。
油性色鉛筆のススメ
先に紹介したお二人もそうですが、リアルな
猫さんを絵を描く画家やイラストレーターは
油性色鉛筆を使っています。
「油性色鉛筆」??
色鉛筆には、「水彩色鉛筆」と「油性色鉛筆」
があります。
「水彩色鉛筆」は、その名の通り、水に溶ける
性質があり、塗った上から水を含んだ筆で
なぞると溶けて水彩絵の具のような風合いに
なります。直接芯を筆で擦って、固形絵具の
様に使う事もあります。
顔料を水に溶ける性質のもので芯を構成している
からです。
優しい風合いになるのと扱い易さで、
人気の画材です。
水彩絵の具と組み合わせて使う方も多いです。
一方、「油性色鉛筆」は、水性色鉛筆とは違って
顔料を油性成分で固めた芯で作られていて、
水に溶けない為、耐久性があり、こっくりと
鮮やかな発色をします。
色がよく混ざるのも特徴です。
塗り重ねると厚みが出て、油絵の様な質感になるので、
こちらは、今まで使ったことない方にとっては
結構面白いと感じると画材だと思います。
ちなみに、幼い頃使っていた色鉛筆も油性
ですが、芯の顔料などの質や量の配合で
ここでお話ししている油性色鉛筆とは少し
違った描き具合ですね。
先に、紹介したスーパーリアルな猫さんを
描くお二人の画家さんも、油性色鉛筆を
使っていらっしゃいます。
水性の色鉛筆も、水彩独特の淡い感じで
描いていくのなら、とても素敵な画材
ですが、今回は、しっかり塗り込む事で
どんどん色に深みが出て、はっきり発色する
油性色鉛筆で猫さんを描いていく方法を
ご紹介していきます。
楽しんで描いていただけると思いますよ。
さて、油性色鉛筆もたくさんのメーカーから
発売されていて、それぞれに特徴があります。
では、簡単にメジャーな油性色鉛筆の特徴を
解説します。
【ロイヤルターレンス ヴァンゴッホ】
高品質で、美しい発色と滑らかな描き心地です。
芯は柔らかめで、筆圧によって細密な着彩にも
対応でき、重ね塗りして色を混ぜても濁らない
のが特徴です。ただ、他メーカーのものより
若干芯が折れやすいと感じるユーザーが
多い様です。
高品質油性色鉛筆の中では、価格はリーズナブル
なのも嬉しいです。
【サンフォード カリスマカラー(プリズマカラー)】
歴史の長く、多くのアーティストに使われてきた
油性色鉛筆です。
同じサンフォードで「プリズマカラー」が
ありますが、同じものです。
ただ、プリズマカラーは木軸に問題があるなど
品質が安定しない欠点がありますが、芯の品質
は、カリスマカラーと変わらないのに価格が
半額程度なので、好んで使う方も多いです。
カリスマカラー(以下カリスマカラーで統一)
の特徴は、芯が柔らかく粒子が細かいので、
鮮やかな発色することと、混色が容易で、
綺麗なグラデーションを作れるところです。
また、無色のブレンダーを使うと、さらに
滑らかなグラデーションが作れます。
「スーパーリアル色鉛筆」の著者・林亮太氏
が愛用していることで有名です。
林亮太氏が監修した「林亮太セレクト」
というナチュラルな色を集めたシリーズも
あります。
筆者も、通常の48色とこちらを愛用しています。
【カランダッシュ パブロ】
プロ仕様の高品質油性色鉛筆です。特徴は伸びが
よく柔らかい描き心地で塗りつぶしが容易です。
重ね塗りしても発色が良く、重厚感が増すので、
プロの画家やイラストレーターによく使われます
が、価格が高いのが欠点。
お値段関係ない!という方には、もちろん申し分
ない最上級の品質です。
【ファーバーカステル ポリクロモス】
ドイツ製の高品質油性色鉛筆。最高級と言っても
過言ではありません。
顔料の含有量が高く、発色がいい上に、
芯が太く色の濃淡、線描の再現に幅があります。
布、ガラス、木材になどにも描ける特性も
あり、色鉛筆とは思えない能力があります。
かなりお高いので良く検討して購入しましょう。
【ホルベイン アーチスト】
他海外メーカと比べるとややしっかりした芯で、
さらっとした描き心地です。
もちろん塗り重ねも発色も良く、しっとり
こってりの油性色鉛筆が苦手な方でも
描きやすいバランスの良さで人気が
高いです。
パステル色ばかり集めたシリーズも人気で、
絵の上達に連れ、買い揃えていくのも
楽しいかもしれません。
【三菱 ユニカラー】
三菱の色鉛筆といえば馴染みが深いと思います。
ユニカラーは油性だったんだ、と思いますね。
高級微粒子を使っている為、色の再現性が高く
見たままの綺麗な発色が特徴です。
他メーカーと比べると芯が硬めなので、
重ね塗りにはあまり適していませんが、
色のバリエーションが豊富な上、比較的
安価な為、塗り分けで対応できます。
大人の塗り絵用などの特別カラーセレクション
もあるので、用途に応じて揃えるといいでしょう。
他にも油性色鉛筆はありますが、代表的な
シリーズの紹介でした。
これでも迷ってしまうかと思います。
結論としてはどちらを使われても、構いません。
試してみたい方は、画材屋さんへ行くとサンプル
が置いてあるので、試し書きして、好みの
タッチや発色を選ぶと良いでしょう。
ただ、今回、猫さんを描く、または動物を
描く、という事にフォーカスするのなら、
三菱以外の方がいいかと思います。
油性特有の重ね塗りの醍醐味を感じにくい
からです。
筆者は、先にも触れた通り、カリスマカラーを
愛用しており、価格の面からも中間で、
仕上りも他を画するものがあると思っています。
もし、カリスマカラーを選ばれるのであれば、
余裕があれば是非72色全色揃えるのを強く
お勧めしますが、もう少し色数を抑えたい
方は、林亮太セレクト24色と他必要に応じて
組み合わせることをお勧めします。
林亮太セレクトは、風景画を描くのに適した
自然な色合いが揃っていますが、こちらは
猫を描くのにも非常に便利な絶妙な色揃えです。
ほぼ、この24色で完結できますが、初心者が
鼻や目など綺麗な色を今も24色だけで補う
のは難しいと思うので、猫さんに合わせて
ピンク系やグリーン系を買い足していくと
無駄がないと思います。
24色セットは外箱に余裕があるので買い足し
しても、一緒に収納できますよ。
余談ですが、色鉛筆のメリットがもう一つ。
それは「猫に邪魔されても災害レベルの
ダメージがない」ですね。
絵の具を使えば、油絵ならペトロール、
水彩絵の具、アクリル絵の具なら水の
バケツは必須です。そこへ構って欲しい猫さん
来たら…猫あるあるですが、被害のレベルの
差は歴然ですよね。
筆者を含めて猫の飼い主さんで絵を描きたい
方は要検討事項です。
イヤにゃの?
色画用紙のススメ
さて、色鉛筆が用意できたら、次は画用紙です。
画用紙も結論からすればなんでもいいのですが、
この記事の目的は「超初心者が簡単に可愛く
猫を描こう!」で、小難しいテクニックを
紹介するのはまた別の記事にしたいと思い
ますので今回は、是非、色画用紙を用意
してください。
色画用紙を使うメリットとしては、
背景をガッツリ描かずに「それっぽい」
風合いの素敵な絵に仕上がります。
こちらの記事のトップの絵がまさにそれです。
レベルとしては、あのレベルを目指すのですが、
あの絵の背景が白だと、ちょっと寂しい絵に
なってしまいますし、手抜き感も出て
しまうので、どうしても背景を塗り込む
必要が出てしまいとても骨が折れます。
背景を描くテクニックも必要になりますね。
また、白い画用紙の場合、白部分は白く
残して描くのが基本になりますので、
白部分の多い猫さんを描くのにも
テクニックが必要になりますが、
色画用紙の場合は、白い部分を
白く塗ることで立体感や深みが出て
簡単に美しく仕上がります。
では、画用紙の色選びのコツですが
・鮮やかな色にしない
→安っぽい仕上がりになる
・濃い色にしない
→塗り込みに苦労する上に、黒白反転
した様な仕上がりになってしまう
・淡い色で少しくすんだ色を選ぶ
→おしゃれな仕上がりになる
・猫さん(ペット)を構成する色を選ぶ
→色浮きせず、自然な仕上がりになる
です。
筆者が好んで使う色画用紙を紹介すると
・キャンソン ミタント紙 パールグレー
アメリカンショートヘアの様なグレー混、キジトラ
の他、何色の猫さんでも使える万能色です。
白に近い色合いなのですが、ニュアンスグレー
なので白い猫さんでも、白い画用紙に描くより
ずっと簡単で綺麗に仕上がります。
・キャンソン ミタント紙 クリーム
トップの絵に使った色です。茶系の猫さんに
とても相性がいいです。
パールグレーよりも優しく、少し
アンティークな仕上がりになるので、
初心者にはオススメです。
・キャンソン ミタント紙 エッグシェル
こちらも渋目の微妙な色合いが素敵です。
万能色なので、どんな猫さんにも合います。
大体、色の傾向はお解り頂けましたか?
筆者は、色画用紙は色の好みもあって
ミタント紙をよく使いますが、ミタント紙
である必要はありません。
画用紙には、「厚さ」「目の細かさ」に
違いがあり、描き心地や仕上がりに違いが
出ます。
ミタント紙は、「普通」の厚さで、「粗め」
です。
蜂の巣状の均一な荒い目で、筆圧が弱くムラ
があっても、均一な目がムラを目立たなくして
綺麗に塗れます。
また、筆圧が高い方は、油性色鉛筆の引っかかり
がよく、どんどん色を塗り重ねても簡単に目が
潰れないので、深みのある表現が可能です。
そう言った特徴から世界的に愛されるアート用
画用紙です。
一方で、ケントやラシャの様な
「細目」の表面の凹凸が少ない画用紙は、
初めから筆圧高めで塗ってしまうとすぐに
凹凸が潰れて、重ね塗りで混色していく
ことが難しくなります。その代わり、弱い
筆圧でもいきなり細密な表現ができる
メリットがあります。
カラーケント#200 うすクリーム
この辺りは、描く方の好みとタッチの傾向に
なりますので、まずはあまり気にせず、
画材屋さんで気に入った色の色画用紙を
購入すると良いかと思います。
また、タント紙は、割と手に入り易く、
色のバリエーションも多く、紙質も
標準的ですので、この辺りから始めるのも
オススメです。
タント Yー12
いかがでしたでしょうか?
いずれも、インターネットでの購入も
できますし、専門の画材屋さんでなくても
東急ハンズの様なところでも購入可能です。
その他揃えておきたい画材
・鉛筆ーB6くらいの芯の柔らかいもの
・練り消しゴム
・カッター
・マスキングテープ
以上となります。
色鉛筆は油性ですとややお値段が貼りますが、
他の画材と比べるとお手軽で扱いやすいです。
他は特殊なものではありませんので、
ぜひ揃えて、次回の《下絵から顔まで》に
挑んでくださいね。さらに、完成までの
《耳と被毛》まで頑張ってください♪
※《耳と被毛》では、裏技として他の画材が
出てきますが、必ず必要なものではないので、
こちらでは割愛してあります。
まとめ
制作編では、コツを押さえて簡単に
素敵な猫さんの絵を描く方法を
伝授しますね!お楽しみに!!
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